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大阪高等裁判所 昭和53年(ラ)391号 決定 1978年9月13日

抗告人

医療法人和幸会

右代表者

栗岡博良

右訴訟代理人

中江源

相手方

株式会社松田組

右代表者

松田善男

第三債務者

株式会社太陽神戸銀行

右代表者

石野信一

主文

一、原転付命令を取消す。

二、その余の抗告を棄却する。

理由

一<省略>

二当裁判所の判断

(一)  一件記録によると、(1)昭和五三年八月一七日抗告人は本件の債務名義である仮執行宣言付手形判決につき立保証を条件とする強制執行の停止決定を得た、(2)同月一八日原裁判所は本件債権差押及び転付命令を発した、(3)同月二一日抗告人は保証金を供託したうえ原裁判所に右停止決定書を提出し強制執行停止申請をした、(4)同月二二日前記転付命令が債務者である抗告人に送達された、以上の事実が認められる。

(二)  転付命令は第三債務者及び債務者に送達された時点でその効力が生じ、執行が完了するのであつて、債務者に送達される以前にはその効力は発生しないものであるから(大決昭三・一〇・二民集七巻七七七頁、大判昭六・八・二八民集一〇巻六七〇頁参照)、その送達前に執行停止決定が執行裁判所へ提出された本件のような場合には、執行裁判所は転付命令手続を停止すべきものであり、転付命令の送達を含むその執行手続の続行は許されないものであつて、執行裁判所に強制執行停止決定書を提出して、強制執行の停止申請をした後、転付命令が債務者に送達されても、この転付命令はその効力を生ずるに由ないものであるといわねばならない。

(三)  本件転付命令は、強制執行停止決定が執行裁判所に提出された後に債務者に送達されたものであることは前認定(一)のとおりであつて無効であるから、原転付命令はその効力が生じておらず、取消されるべきものであることは前説示によつて、明らかである。

なお、抗告人は本件転付命令申請の却下をも求めているが、抗告人が取得したのは執行停止決定であつて、執行取消決定でないから、右決定書が執行裁判所に提出される前になされた本件転付命令申請に消長を与えるものではないので、同申請の却下を求めることはできない。

(四)  以上の理由により、原転付命令を取消し、その余の抗告を棄却することとし、主文のとおり決定する。

(下出義明 村上博巳 吉川義春)

抗告の趣旨<省略>

抗告の理由<省略>

差押債権の表示<省略>

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